7冊目

ちいさな幸福 <All Small Things> (講談社文庫)

ちいさな幸福 (講談社文庫)

読むのだ会はお休みして角田さん。「恋人と過ごした、どんな時間が心に残ってる?」この質問からはじまる様々な人達の恋愛の思い出。他人の秘密をのぞいているようでこそばゆい、けれどなんだか心が温かくなりました。ううーん、それにしてもわたしも角田さんと同じく(と言ってしまっては失礼かしら?)、22歳にもなってたいしたデートの思い出もない。大恋愛の経験もない。
この本を読んでいて、大学に入って間もない頃のことを思い出してしまった。知り合いになったサークルの人に連れて行かれたお店のマスターに本気でくどかれ、というかホテルに誘われて困ってしまったことを。もちろん初対面でそんなことを言われたわけではなくて、しばらく通ううちに誘われたのだ。その件以来そのお店には行っていないし、マスターにも会っていない。一時期は本気で男性不信になった。だってマスターには愛する奥さんがいて、酔うたびに自分がいかに奥さんに感謝しており、そして奥さんを愛しているかを語っていたから。その口で彼はわたしをホテルに誘ったのだ。結婚て…と思い、それと同時に男って…と思って色んな人が信じられなくなっていた時期だったなあ。18の小娘には刺激が強すぎた。
そのマスターがわたしに「君はあと5年もすればどうしようもなくいい女になるよ」と言ったのであった。あと1年でそう言われてから5年になる。わたしはいい女に、それも「どうしようもなくいい女」になれているだろうか。